広島高等裁判所 昭和25年(う)139号 判決
本件記録を見ると、昭和二十四年四月二十八日広島地方裁判所裁判官の発した勾留状に記載された被告人に対する被疑事実は、窃盜の事実であるのに拘らず起訴状に記載された公訴事実は贓物運搬の事実であることは所論のとおりであるが、両者を彼此対照するに、その間事犯の態様に差異は認められるが孰れも他人の所有に係る財物に関する犯罪であつて互に密接の関係を有するからその基本たる事実関係においては同一であると解するを相当とするそして基本たる事実関係が同一である限り贓物運搬の起訴についても窃盜の勾留状の効力を維持し得るものと解するを相当とするので原審検察官が窃盜の勾留状の効力を維持しながら贓物運搬の起訴をしたのは何等違法はなく、仮に然らずとするも、そのゆえを以つて本件公訴提起の手続が無効であると解すべきいわれのないこと明らかであるので論旨は採用の限でない。